8人
幸太郎は3階にも『密室』をかける。そして同じことを繰り返した。
「依頼人の意向で、亜人、獣人のみならず、お前たちも開放することになった。
ただし、お前たちの面倒まではみない。1階の金庫室を開けてあるから、
各自持てるだけのお金を持って逃げろ」
奴隷たちから歓声があがった。
こうなるだろうと思って『密室』がかけてある。
カルタスたちが次々と錠前を外す。自由になった奴隷は
口々にお礼を言いながら、1階へ降りて行った。
(こっちが利用してるだけだから、
お礼を言われる筋合いはないんだけどね)
さあ、これでここの用は無くなった。
あとは頂くものを頂いて、ギブルスの店へ戻るだけだ。
ところが・・・。
「あ、あの。私たちも連れて行って下さい・・・。
どうか、お願いいたします」
「私は借金が返せなくなって、奴隷に落ちました。
もう帰る所はないんです。帰っても家族に迷惑がかかるだけ・・・」
「私も、村が人狩りに襲われて・・・」
4名の女性が連れて行ってほしいと申し出てきた。
こっちは完全に計算外。
さっきのエルフたちと合わせると8名にもなる。予定より2名多い。
しかも、全員女性。馬車に全員乗れるかわからない。
しかし、放り出すわけにもいかない。
自分の都合で奴隷を利用しようとした罰が当たったのか?
幸太郎は『6名から減るかもしれない』とは考えたが、
増える可能性は全く考えてなかった。
「わかりました。今は行き先は言えませんが、ついてきて下さい・・・」
ギブルスに泣きつくしかない。幸太郎は自分の頭の悪さを嘆いた。
(C)雨男 2021/12/17 ALL RIGHTS RESERVED




