ついでに人族も開放
エルフの女性2名と狸人族の姉妹は、幸太郎たちについてくると言った。
しかし、黒狼族の男とリザードマンの男は拒否した。
「開けてもらったのは感謝するけどよ、コボルドの下につくのは御免だぜ」
「開けてもらったことには感謝するが・・・。私は人族を信用していない。
我らをトカゲと侮るのは人族だけだからな。勝手にやらせてもらおう」
「わかった。では約束通り、1階の突き当りの金庫室が開けてある。
持てるだけ金を持って逃げるといい。幸運を祈る」
幸太郎は平然と言った。どちらでもいいからだ。
そして、成り行きをじっと聞いていた、他の2名の奴隷が懇願してきた。
「旦那! 俺たちも逃がしてくれよ! 旦那に迷惑はかけねえ!
金さえあれば、あとは自分でなんとかするからよ!
な、頼むよ! 後生だ!」
幸太郎はモコを見る。モコはうなずいた。もちろん打ち合わせ通りだ。
「わかった。依頼人は寛大な人だ。
ついでにお前たちも逃がしてやれとのご命令だ。
・・・だが、お前たちの面倒はみないぞ? 金を持って自分で逃げろよ?」
「あ、ありがてえ! 大丈夫、約束するよ、あとは自力でなんとかするって。
金さえありゃあ、なんとでもなるさ!」
幸太郎はカルタスたちに頼んで、錠前を外してもらった。
「へへっ、ありがとよ、旦那!」
奴隷の男2人は大喜びで階段を駆け下りていった。次は3階。
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