死体操作を実行
子供たちは泣きながらモコに抱き着いた。モコも泣いている。よかった。
幸太郎は一応、エルロー辺境伯の死体に『成仏』をかける。
あとで警護の死体にも『成仏』をかけなければ。
幸太郎はエルロー辺境伯の死体に『死体操作』をかけた。
死者を辱めるのは気が進まないことだったが、責任はとってもらう。
モコや子供たちの後々のことを考えれば、打っておくべき手だった。
幸太郎は『マジックボックス』から一枚の木製プレートを取り出した。
「ご主人様・・・それ、つけるんですね・・・」
「ああ、モコに書いてもらったプレートは
エルロー辺境伯に付けるために用意したんだ。
まあ、悪趣味だが必要だと思う」
幸太郎はエルロー辺境伯の死体に『立て』と命じる。
そして首にプレートを紐で取り付けた。
さらに幸太郎は命令をいくつか伝える。
「行け」
魂の無いエルロー辺境伯の死体はへらへら笑いながら、
階段を下りてゆき、渡り廊下から落下。そのまま門を開けて消えていった。
「さあ、今度は脱出だ。モコ、外の音は何か聞こえるか?」
「・・・大丈夫です。まだ静かなままです。足音は何も聞こえません」
「よし。では脱出・・・、おっと。エルロー辺境伯から
村の賠償金をもらっておこう。
『心を入れ替えた』と言ってたから、快く払ってくれるだろう」
「そうですね。何しろ『心を入れ替えた』そうですから!」
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