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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーVSエルロー辺境伯 3
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金庫


 幸太郎は『破魔の陽光』を唱えた。白い光が幸太郎を中心に広がる。



『壁』はぐにゃりと歪むと、カーテンに描いた絵のように吹き飛んだ。





「な・・・? なんだとお・・・?」





それが執事の遺言になった。カルタスの剣が躊躇なく首を飛ばした。








壁が消えた向こうにドアがひとつ、そして突き当りにもドアが現れた。



カルタスが手前のドアのカギ穴に指を差し込む。カルタスが指をひねると



『カチリ』という音と共にドアが開いた。全員で部屋に踏み込む。








部屋はエルロー辺境伯の寝室のようだった。



部屋自体は全く異常はない。当然か。



しかし、幸太郎はゴテゴテと異常に豪華な造りの部屋が気に障った。



これは日本人ゆえだろうか。カルタスは部屋の奥のドアも開けて踏み込んだ。





「幸太郎様、こっちは金庫のようです」





「そうか、お金に用はない・・・。あ!」





幸太郎はお金の使い道を思いついた。



と、いうより、何故、今まで考えなかったのかと



自分の馬鹿さ加減に嫌気がさした。



これでギブルスに馬車などの代金を払える。



ジャンジャックとグレゴリオにも報酬を出せる。



そして、何よりモコの村へ賠償金が出る。





「まあ、とりあえず、そっちは後回しだ。


今はエルローの馬鹿野郎をぶちのめす」





幸太郎と、モコ、カルタスは突き当りのドアを開けて渡り廊下を進む。



敷地の中は、ゴーストたちが飛び交っている。



これなら誰も入ってこないだろう。








塔の階段は一階へ向かう下り階段が、瓦礫で埋まっていた。



なるほど、完全に人が出入りすることを考えていない。



・・・つまり、この塔は本来の物見櫓の機能は無くなって、



エルロー辺境伯の『趣味』のためのみに存在しているということだ。










(C)雨男 2021/12/12 ALL RIGHTS RESERVED







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