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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーVSエルロー辺境伯 3
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そうなのですね


「イネス様、申し訳ないのですが、皆様をこのロープで拘束させていただきます。


その後、床に伏せていただければ、危害は加えないことをお約束いたします」








幸太郎は『マジックボックス』からロープの束を取り出した。かなり重い。








「かしこまりました。ケイト、ダイアナ、指揮をとりなさい。


後ろ手に縛るように。アン、ハンナ、メイシンはリネン室からシーツ、


そしてハサミを持ってきて猿轡を作りなさい。急ぎなさい。」





イネスは幸太郎に向き合うと、はっきり言った。





「縛るだけでは不十分でございます。口をふさぎ、情報のやり取りを阻害して


初めて抵抗を封じることができます」








幸太郎は驚いた。そして、警戒した。相手のペースに乗るのは危険だ。








「イネス様。あなたは先ほど、私たちを待っていた・・・と、


おっしゃいました。なぜ、私たちに協力するような真似を?」





「無論、私たちも死にたくないからです。・・・しかし、失礼ながら、


あなた方は、子供たちを救出にきたのではありませんか?」





幸太郎は、黙ってモコのフードを下ろした。これは元々その予定だった。


モコの耳を見れば目的は一目瞭然、命の惜しいものは投降すると踏んでいた。





「やはり、そうなのですね。では、まずは『あなた方に脅されて』


情報をお渡しいたします。旦那様は、塔の最上階です。子供たちもそこに。


二階の渡り廊下以外からは塔に上ることはできません。


先ほど、執事のアンガスが二階へ急いであがりました。


しかし、ネクロマンサー様の急襲があまりに素早かったため、


おそらく渡り廊下の前で『壁の幻術』を使うのが精いっぱいでしょう。


アンガスはそこで事態が好転するのを待っているはずです。


二階には奥様以外、他に誰もおりません。


どうか、奥様はお許しいただけないでしょうか?」










(C)雨男 2021/12/11 ALL RIGHTS RESERVED






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