お待ちしておりました
幸太郎はゴーストたちに、敷地の中にまだ潜んでいるものが
いないか探すように命じた。幸太郎とモコ、5名の
ガイコツの騎士は玄関からエントランスホールへ突入する。
4名の男が剣を持って襲い掛かってきた。幸太郎は素早く指示を出す。
「カルタス! 二階へ上がれ! 女性以外は全て斬れ!」
「承知!」
襲い掛かってきた4名はコックなどだったのだろう。
カルタスの部下たちの敵ではない。
ここからは、モコの出番・・・のはずだったが、
幸太郎は屋敷内の異常な気配に気が付いた。
『静か』なのだ。
メイドが大勢見える。しかし、取り乱す者は一人もいない。
ガイコツの騎士がコックたちを目の前で斬り倒したのに、
悲鳴さえ上げない。
「なんだ・・・? ストップだ、モコ」幸太郎はモコを止めた。
初老の婦人がしっかりした足取りで幸太郎に近づいてきた。
「お初にお目にかかります。ネクロマンサー様。
私は当家のメイド長を勤めております。イネスと申します」
背筋のピンと伸びた姿勢、丁寧なお辞儀、動揺のない表情、
・・・只者ではない。
「ご丁寧な対応、おそれいります。お騒がせして申し訳ありません。
本来なら仮面をとり、名を名乗るべきなのですが、
今はそれがかないません。どうか、我々の非礼をお許し下さい」
幸太郎はそう言うと、腰を折ってお辞儀した。モコもそれに倣う。
「あなた方をお待ちしておりました」 イネスははっきりそう言った。
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