笑止!
幸太郎とモコは鉄格子の門を閉めた。
これは見ていた者、通りかかった者への警告である。
『入ってきた者は、こうなるぞ』
幸太郎は振り返って、敷地の状況を見た。
すでに死体の数は30を超えているようだ。
カルタスは別格だが、部下の4名も強い。2,3人同時に
相手にしても、全く苦にしていない。
まるで時代劇の殺陣を見ているようだった。
そのうえ、ゴーストが警護の足を文字通り『引っ張る』
おかげで警護は次々に首が飛んでいく。
幸太郎とカルタスが同時に、玄関の前にいた魔導士を見た。
その魔導士は何かを唱えている。
すでに魔導士の前に2メートルくらいありそうな
巨大な火の玉が発生していた。まずい!
カルタスが魔導士に向かって走り出す。
「・・・炎よ! 我に従え! 我が敵を焼き尽くせ! 『大火球』!!」
巨大な火の玉がカルタスに向かって放たれた。カルタスは立ち止まると
赤いマントの裾を掴んで、自分の体を覆った。
巨大な火の玉はマントに当たると、はじかれて四散して消えた。
え? そんな機能あるの?
「フッ、笑止!! 邪な心が生み出した魔法など、
我が主より賜りし『赤心のマント』に通じる道理なし!!」
え? そんな名前なの?
カルタスは魔導士に一直線に走る。魔導士は慌てて何かを唱えると、
光の泡のようなものが体を覆った。何かの魔法障壁なのだろう。
だが、カルタスはそのまま魔法障壁ごと、
魔導士を頭から股まで真っ二つに斬った。
「フッ、笑止!! 邪な心が生み出した『魔法の泡』など(以下略)」
ゴーストの援護もあるが、カルタスたち5名の
強さは凄まじいものだった。
完全に幸太郎の予想のはるか上。警護の者たちは、
結局1分もたずに全て躯となった。
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