赤いマント
唯一、隊長と呼ばれた騎士だけは反応した。
隊長はカルタスの剣を受け止めようと剣を抜いて構えた。
幸太郎は驚くべき光景を目の当たりにする。隊長は剣が折れないように、
やや斜めに、力を受け流すように防御の構えをとった。
ところが、カルタスはそんなこと全くお構いなしに
剣と首を『斬った』
剣は『折れた』のではなかった。本当に斬られていた。
鎧の一部まで斬られて隊長の首は飛んだ。
隊長の首は驚いた表情のまま、地面に転がった。
今にも『信じられない』と喋りだしそうだった。
カルタスたちはそのまま門をくぐり、敷地の中へなだれ込む。
幸太郎はその後ろ姿を見て、ふと思った。
(赤いマントとか似合いそうだな・・・。
でも買っても装備できないかな?)
ところが。幸太郎がそんなことを考えていると、
カルタスたちの鎧の肩辺りから
『にょきにょき、にょろにょろ』と赤いマントが『生えてきた』
「なんじゃこりゃ???」
思わず声がでた。いや、今はそんな場合ではない。幸太郎とモコは
死んだ警護の体を次々に敷地の中へ放り込む。残りをモコに任せて、
幸太郎は門を閉める前の仕上げをする。
幸太郎は門に背を向けて立った。そして、しばらく動かない。
その後、わずかに首を『くいっ』と上げた。途端に窓を閉める音が
3つ聞こえてきた。幸太郎が仮面を付けているために、視線がわからない。
窓から見ていた者は全員『覗いていたのがバレた』と思ったのだろう。
これで、しばらくはドアを固く閉ざして、絶対に開けないはずだ。
(C)雨男 2021/12/10 ALL RIGHTS RESERVED




