日没
「コール・アザラシゴースト・・・」
幸太郎は最初からアザラシの姿のゴーストを呼んでみた。
最初からこの姿で呼ぶことができたのは、
自分でちょっと驚きだった。試してみるもんだ。
「かわいい・・・」
モコは目がハートだ。アザラシゴーストの中身はアレなんだけど。
ギブルスはまたも大興奮。説明を求めてくるので、
『はるか北の動物』と答えた。
もうあんまり時間をかけると、ジャンジャックたちの予定が狂う。
「エルロー辺境伯の屋敷を襲撃したあと、
メインの大通りに大騒ぎを起こす。
その前に、このゴーストを門のほうへ飛ばすから、
これが見えたらジャンジャックたちの陽動を開始してくれ」
「了解だ。では必要な物資も持ったし、
そろそろ俺たちはピートス川にかかる橋へ向かうとしよう」
ジャンジャックとグレゴリオは
釣り竿と大きな魚籠を持って出ていった。
ジャンジャックとグレゴリオは途中の屋台で買った
食料をモゴモゴと食べながら、防壁の門へ到着する。
「よーう。外出許可証出してくれ。今日はゴリオと夜釣りするんだ」
「はあ? 夜釣りって・・・まあ、お前らなら心配いらんか。
一応気を付けろよ? 門は朝まで開かないからな? ・・・ほれ、
これがあれば戻るとき通行料はいらんから、無くすなよ」
「おう。あんがとよ。デカいの釣れたら見せてやるよ」
「はっは、俺は明日非番だから、また今度な」
ジャンジャックは門をくぐるときニヤッと笑ってつぶやいた。
(もうしばらくしたら、この門は再び開くことになるんだよ・・・)
ジャンジャックたちは釣り竿を振りながら歩いていった。
・・・もうすぐ日没だ。
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