檄
「カルタス、並びに4名の騎士よ、そしてゴーストのみんな、
よく集まってくれた。感謝する。
現在、我々は、モコの村を襲い、村人を殺し、子供たちをさらった
エルロー辺境伯をぶちのめし、子供たちを救出する作戦を実行するところだ。
・・・敵は強大な貴族である。もし、怖気づいた者がいたら、
今すぐ帰ってもいい。責めはしない・・・」
幸太郎は周囲を見渡した。誰一人帰る者はいなかった。
「諸君らの正義と勇気に感謝する。
エルロー辺境伯は子供たちを拷問し、殺すのが趣味の外道だ。
やつらに容赦はいらぬ。どうか、子供たちの救出にその力を貸してくれ!
・・・あの外道どもに教えてやるのだ!
天に太陽がある限り、明けない夜は無いということを!」
幸太郎はカルタスたちに向かって言った。
「カルタス! 並びに4名の騎士よ! 卿らの剣を掲げよ!
その剣をもって、この世界に未だ正義が滅んでいないことを示すのだ!
人々はもうすぐ見るだろう、もうすぐ聞くだろう、
卿らの剣が、暗雲を切り裂き、闇を打ち砕き、
朝日の烈光が悪を滅ぼす様を! 太陽神は必ずや、
卿らの戦いをご照覧になるであろう!
掲げよ! 卿らの剣を、あの太陽へ! 悪を滅ぼす光となれ!!」
カルタスたち5名は一斉に剣を抜き、自分の前で十字架のように掲げた。
そして、くるりと回転させて切っ先を床へガチリと打ち付ける。
バルド王国の騎士の儀礼なのだろう。カルタスは力強く言った。
「必ずや! わが主よ!」
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