人気の演目
「なぜ、暗殺部隊のことを・・・?
それは騎士団でさえも知られていなかった
極秘の部隊のはず・・・」
「わしは商売柄、耳が早くてのう。・・・と、言うよりも、
当の本人たちがしゃべったからじゃよ。ひっひっ。
お前さんたちが16人の暗殺部隊のうち、13人を斬ったじゃろう?
残ったやつらは『あまりの馬鹿馬鹿しさ』に国を捨てて出奔したんじゃ。
そして、冒険者になっていたんじゃが、国王が殺されてから
国への忠誠心も完全に無くなって、
晩年、自分たちの体験談を売ったんじゃよ」
「それで・・・。まさか、そんなことになっていたとは・・・」
「面白そうだったのでな、わしはオリジナルの手記を買った。
ついでに一儲けしようと、うちの何人かの吟遊詩人に
内容を教えたんじゃ。おかげで今では、
お前さんたちは『忠義の騎士』という題名で
うちの吟遊詩人の人気演目になっておるわい。
・・・しかし、まさか本人に会えるとはのう! 面白い、
面白い! おっもしろぉぉぉい!!」
『なんてちゃっかりしたジジイだ・・・』 その場の全員が思った。
「幸太郎、納得いったぜ。これが切り札だったんだな」
「うむ。幸太郎殿。これなら問題なく子供たちを救出できるだろう」
「では、そろそろ行動を開始しようか。『冥界門』を閉じるよ」
ここで幸太郎は『主らしい行動』を思いついた。
『檄』を飛ばすというやつだ。
自分には到底似合わない行動ではあるが、カルタスはともかく、
4人の部下は期待しているかもしれない。
「あー・・・。んん、ごほん・・・。みんな、聞いてくれ」
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