ソードブレイカー
幸太郎はギブルスに少し広い部屋を貸してほしいと頼んだ。
『冥界門』を開くためだ。実際に見せないと
ジャンジャックたちは納得しないだろう。
「『密室』・・・」
これで音は外へ漏れない。幸太郎は高らかに命じた。
「開け! 『冥界門』!!」
八芒星が左右に開くと、数十体のゴースト、
そしてカルタスたち5名の騎士が飛び出してきた。
「みんなに紹介するよ。この騎士は『カルタス・ランドール』
エミール殿下の護衛だった騎士だ。
そして、その部下4名の騎士。ゴーストたちは・・・
どうやら、俺が成仏させた人たちの中で、気が合った人たちらしい」
正直なところ、ゴーストの人たちは何故、幸太郎に恩を感じているのか
よくわからなかった。でも、力を貸してくれるのは素直にありがたい。
「カルタス・・・? もしや、バルド王国の
『ソードブレイカー』か! 面白い!!」
ギブルスは驚きの表情を浮かべている。
「おお、知っているのか? ジジイ?」
ジャンジャックとグレゴリオは知らないようだ。
「エミール殿下の護衛だった騎士・・・。間違いない。
こいつはすごいわい。カルタスはバルド王国でも屈指の
実力者だったんじゃ。剣術の大会で全ての対戦相手の剣を
叩き切ったので『ソードブレイカー』の異名がついた。
木剣、模擬の鉄剣、全く関係なく一回戦から決勝まで、
対戦相手の剣を斬ったんじゃ・・・。
なるほど、これはエルロー辺境伯の警護では、ひとたまりもあるまいて」
「よく知ってますな。ご老人。・・・しかし、それは昔の話。
私は殿下をお守りすることができなかった恥さらしです・・・」
「ほっほ、卑下することはあるまいて。何重もの卑劣な罠に立ち向かい、
あの王室付き暗殺部隊を壊滅にまで追い込んだ
『騎士の鑑』と謳われておるぞ?」
(C)雨男 2021/12/06 ALL RIGHTS RESERVED




