これが切り札
ギブルスもすぐに帰ってきた。馬車は少し大型にしておいたという。
幸太郎が亜人の奴隷を連れて行こうと考えたのは、ギブルスに会った後だった。
ギブルスが馬車を扱っていると聞いていなければ、思いつかなかっただろう。
これは、ずっと後で効果がでるはずの布石だ。
「よし、幸太郎、ほれ、切り札を見せてみい!」
「そうだ、68名の護衛を5分で制圧するという、
その切り札を見ねえと俺たちも不安だぜ」
幸太郎は、くれぐれも他言無用に、と頼んだ。
「来い、『冥界門』・・・」
幸太郎の胸に緑色の光が灯る。その光が宙に浮き、
2つの円に展開する。そして、
その中に光が走り『八芒星』が浮かび上がった。
「これは?・・・今まで見たことない魔法じゃのう・・・」
「幸太郎、これもネクロマンサーの魔法のひとつなのか?」
「これは・・・借り物の力だよ。正確には俺の力じゃない。
ネクロマンサーの魔法なのかは不明だな。これで冥界から援軍を呼ぶ」
「「「援軍???」」」
幸太郎は『冥界門』に呼びかける。『カルタス、聞こえるか?』
ほどなくして『冥界門』から声が聞こえた。
「はい。幸太郎様。なんなりと」
「モコの村の子供たちがエルロー辺境伯にさらわれた。奴は子供たちを
拷問して殺すクソ野郎だ。救出作戦に力を貸してほしい。頼めるか?」
「もちろんです。我ら5名、幸太郎様の剣となり
敵を撃ち滅ぼしてご覧に入れましょう」
「ありがとう。助かる。では、作戦を伝える。決行は今夜7時の予定だ」
幸太郎はカルタスに大まかな事情と作戦を説明した。
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