モコと雑談 4
「そうそう。最後に大勢で取り囲まれたら
逃げられないって言っておいたからね。
単なる誘導だよ。ブロトとの会話も練習通りっていうけど、
そうなるようにこっちでコントロールしてただけさ。
『モコを譲ってほしい』『首輪の料金』
『獣人、亜人の奴隷の金額の相場』『モコと同じ村の獣人はいるか』
『その獣人を譲ってくれないか』『エルロー辺境伯には敵わない』
・・・全部シナリオを作って、順番に話が逸れないように進めただけだよ。
まあ、ブロトの所に子供たちがいれば、一番良かったんだけどなあ・・・」
モコは感心した。『この人はいったいどんな生活をしていたら
こんな技能が身に着いたのだろう?』
幸太郎のことをもっと知りたいと思うようになっていた。
(きっと救出も上手くいく・・・)
幸太郎は逆に、これからのことを心配していた。
さきほど、モコに『消化試合』と言ったが、
当然、あれはモコを落ち着かせるための嘘だった。
実際にまだ子供たちを救出してはいないのだ。
作戦に変更はないが、物資の件、
エルロー辺境伯の屋敷の外観、戦力、
子供たちはどこに閉じ込められているか・・・。
本当は、これらは幸太郎が走り回って
準備しなくてはならないことだった。
(ギブルスさんに期待したいところだなあ・・・。
ジャンジャックとグレゴリオ殿に会えたのはつくづく
幸運だったと思う。ゾンビかスケルトンにやらせるか、
やめておこうと思った、かく乱を引き受けてくれるっていうし・・・。
ありがたやー)
(C)雨男 2021/12/01 ALL RIGHTS RESERVED




