モコと雑談
「まずね、ブロトたちはコナへ向かった人狩りたちが
全滅したことを、すでに知っていたんだよ」
「ええ? まさか! 昨日の夜ですよ!?
どうして、そんなに早く知ることが・・・?」
「どうして知ったのかは、俺にもわからないよ。あえて理由を探すなら
大量の死体に獣やカラスが群がって大騒ぎでもしていたんじゃないかな?
そして、それがコナに報告された。
俺たちは商館のマークの入ったものは全て置いてきた。
そこからは伝書鳩でユタの奴隷商人へ伝わったんじゃないかな」
伝書鳩・・・。この世界では『往復鳩』だろうか?
まさか『移動鳩』ってことはないだろうが・・・。
幸太郎はそのうちジャンジャックたちに聞いてみようと思った。
「ご主人様は、どうしてそれに気が付いたのですか?」
「最初はエリックってやつが驚いた顔に、何か引っかかるものを感じた。
あのエリックってやつは若いが侮れん気配があった。
そいつがモコを見て、予想以上に驚いたんでね。
『なんでそんなに驚いてるんだ?』って不思議に思ったのさ」
「そんなわずかな差を?」
「わずかじゃないよ。正直ブロトよりもエリックのほうが
敵としては恐ろしいな。商売上の修羅場はくぐってる顔だ。
もちろん、あの場ではそれは少しの違和感でしかなかった。
決定的なボロを出したのはブロトのほうさ」
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