奴隷商人の館 14
「その策とは? そんなに確実な方法があるのでしたら、
是非ともご教授願いたいものです」
今度はブロトが金貨を一枚パチリと置いた。
「おやおや、さっきとは逆になりましたな。
しかし、商品には対価を支払う・・・。
商売の基本ですな。さすがはブロト殿」
幸太郎はニヤニヤと笑った。もちろん演技だ。
「実は私は火の魔法を使えるのです」
「火の魔法ですか・・・? それなら使える者は他にも大勢・・・」
「まあまあ、まだ先があります。
私は一番小さな火の魔法しか使えないのですが・・・。
それだけは無詠唱で使うことができるのですよ」
「無詠唱! 本当ですか!?」
「ええ、しかもそれを連射できるのです。
これを見た相手は必ず警戒します。
私は、他には全く火の魔法を使うことはできないのですけどね。
さらに、奥の手があります。『煙のオーブ』です。
火の魔法と一緒に使えば、もうもうと煙が立ち込めます。
あとは逃げるだけですよ。相手は追いかけるべきか、どうか、
必ず迷います。距離がひらいたら、絶対に諦めますよ」
「な、なるほど・・・。相手の情報が少なすぎて、
自分より強いのか弱いのか判断がつかなければ・・・、
盗賊などは深追いはしてこない・・・こういうわけですね?」
「まさに、その通りです」 うっそぴょーん
(C)雨男 2021/12/01 ALL RIGHTS RESERVED




