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奴隷商人の館 13
「おや、なんですか?」
「ああ、いえ、幸太郎様にはお供の方はおられないのですか?」
「? 気になりますか? ああ、護衛の奴隷を売りこみたい、
と、こういうわけですか?」
幸太郎はあえて、見え見えの話に乗る。
「ま、まあ、そんなところです」
「私はいつも一人で行動しています。護衛は必要ありませんよ。
今回はこの娘を連れての旅になりますが、
一人くらいなら庇ってやれます」
「幸太郎様は、そんなにお強いのですか?!」
「ははは、まさか。私の必勝法は『逃げる』ことですよ。
剣で勝ち続ける必要などありませんからね。
戦わなければドラゴンにだって負けませんよ」
「ほう。しかし、そんなにいつも逃げ切れるものなのですか?」
「ふふ、もちろん何の策も無く逃げても、捕まります。
仕掛けは必要ですよ。しかし、大げさな仕掛けはいりません。
何しろ、こっちは戦う気は一切ないのですから」
(C)雨男 2021/12/01 ALL RIGHTS RESERVED




