奴隷商人の館 11
「それを聞いてどうしようというのですか?」
「ふっふ。もしかしたら金になる話かもしれません。
持ち込まれた獣人を譲っていただければ、
この娘と合わせて色々使い道がありそうです。
一儲けできそうな計画が、今思い浮かびましてな」
「残念ながら商売にはならないと思いますよ」
「ほう? ・・・なぜです? 気になりますな」
幸太郎は、ここでもう一枚金貨をパチリと置いた。
ブロトは自分の優越を確信した表情になった。
「確かに、幸太郎様の推測は当たっております。
昼前に、この商館に6名ほど獣人が持ち込まれました」
「6名・・・。おや? しかし先ほどこの商館には
獣人は4名と言っておられませんでしたか?」
「全てエルロー辺境伯様がお買い上げになりました。
もう、この商館にはいませんよ。
いかがですか? 商売のタネになりそうですか?」
『うぐっ』と幸太郎はうなって、ソファにもたれかかった。
眉を寄せて大きなため息をつく。
「ふーーーっ・・・。まいった。参りましたな。
ブロト殿の言う通りでしたか・・・。さすがに相手が悪い・・・。
私がどうにかできる相手ではありませんね・・・。
譲っていただくのは不可能に等しい・・・か」
ブロトは悠然とうなずいた。
内心『ざまあみろ』とでも思っているのだろう。
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