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奴隷商人の館 7
ブロトは『隷属の首輪』をモコの首にはめた。
そして何やら唱えている。
これは奴隷商人だけが使えるという魔法か?
幸太郎がそんなことを思っていると、
モコに装着された首輪から青い光がにょろにょろと
伸びてきて幸太郎の左腕に巻き付いた。
「これで契約は終了いたしました。幸太郎様は、
こちらの娘の所有者となりました」
モコの首輪を見て、幸太郎は複雑な気分だった。まあいい、
そのうちまたぶっ壊そう。
「幸太郎様は、所有者として、奴隷に衣食住を保証する義務があります。
また、納税の義務が・・・」
ブロトが何か幸太郎に説明している。
多分、奴隷を所有する人への義務や、法律の説明なんだろう。
だが、幸太郎はほとんど聞いてなかった。
どうでもいい。そんなことより、ここからが本番だからだ。
「うむ。感謝します、ブロト殿。それで、料金はいかほどですかな?」
「はい。首輪と登録料、台帳への記載、手数料で
締めて金貨20枚になります」
うそつけ。幸太郎は内心悪態をついた。
(C)雨男 2021/12/01 ALL RIGHTS RESERVED