奴隷商人の館 1
幸太郎はジャンジャックに教えてもらった地図を頭に思い浮かべた。
奴隷商人の商館の位置を確認する。
「さあ、モコ。いよいよ俺たちの芝居の開演だ。いけるか?」
「大丈夫です。私のやることは心得ています。
コツも昨日教えてもらいましたから」
「よし。ここが一番大事なところだ。
なにせ俺たちが一番欲しい情報はこいつが持っている。
こいつがしゃべればエルロー辺境伯の所へ確認に行く必要はない」
「幸太郎様・・・どうか、よろしくお願いいたします。
子供たちの救出に・・・」
「任せておけ。心配はいらない。エルロー辺境伯の後はここへ来て
思いっきり殴らせてやる」
幸太郎は自分がブラック企業で、営業、配達、集金まで
全部押し付けられていた経験が
こんな形で生きるとは思わなかった。
しばらく歩くと見えてきた。奴隷商人の商館だ。
幸太郎は顔を『営業モード』に切り替えた。
幸太郎は、商館のドアの呼び出し用の
ノッカーを掴むと、『コン、コン』と
ゆっくりぎみに2回鳴らした。
少しして、ドアが開き、中から若い使用人の姿が見えた。
さあて、作戦開始だ。
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