通行料
「ん? 通行料は2人で金貨2枚・・・」
幸太郎はそれを遮った。
「まあまあ。それであちらの方と一杯やって下さい。なあに、
たまにはこんな役得があってもいいじゃないですか。
いつも真面目に働いているんです。
女神リーブラもお許しになるでしょう」
幸太郎は番兵に金貨を握らせてニコッと笑った。
番兵もニヤッと笑った。
「うむ。さすがはギブルスの商売相手だな。
礼儀をわきまえておる。おっと、そっちの娘は?」
「ああ、この娘は私の奴隷にするために連れてきました。
この娘の両親に金を貸したのですが・・・。
返済できないと泣きつかれましてな・・・。
この娘で手を打ちました」
「ふむ、なかなか上玉じゃないか。いい金になるだろう」
「いやいや、さすがに少々割が合いません。
ですが、仕方ないので働いてもらいますよ。
これから奴隷商人の所へいくつもりです」
「そうか。おお、いかん、後がつかえてきたな。
これが通行許可証だ。この許可証で一か月滞在できる。
無くすなよ。町を出るときに必要になる。
よし、通れ。・・・次!」
幸太郎とモコは無事にユタの町へ入った。
ふうっとモコが息をつく。ずっと『暗い顔』をしていたのだ。
「幸太郎様、すごいですね」
(C)雨男 2021/11/30 ALL RIGHTS RESERVED