いじけるアステラ様
床で暴れていたアステラは、ついにうつ伏せになって
イジケだした。パンツ見えてます。
「あたしだってさ・・・自慢にもならないけど、真面目に仕事してんのよ・・・
24時間、365日、一度だって太陽の運行を休んだことないのよ・・・
なのに、あのオーガスと名乗るバカが光の神を掲げているせいで・・・
あたしの信者・・・ゼロなのよ・・・一度も信者ができたことないの・・・」
アステラはゴロリと転がる。仰向け。
「幸太郎は知ってる? アマテラス先輩の地球には太陽神を
崇める国があるっていう話なのよ・・・。太陽神が最高神なんだって・・・。
その国は白地に赤い丸の太陽をかたどった国旗をひるがえしているの・・・。
かっけえんだわ、これが・・・」
もう一度ゴロリ。
「なんでこんなに違うのよ・・・。そりゃあアマテラス先輩は美人で・・・
かわいいし・・・なんかふわっとした優しそうな雰囲気だし・・・
おまけに、あたしよりウエストが2センチ細いし・・・チキショー・・・」
チキショーって言ったよこの神さま。
さすがに幸太郎はいたたまれなくなった。少しでも慰めてあげたいと思った。
そして口を滑らせた。
「アステラ様。元気出してください。私はその国を知ってますよ。
日本って国です。実は私は日本人なんです。だから私はアマテラス様も
アステラ様も敬っていますよ。
伊勢神宮だって何度も行ったことあるんです」赤福買いに
いじけていたアステラがビクッと体を震わせた。
そして骨の構造を無視した、まるで蛇のような有り得ない角度で上体を起こした。
フクロウのように顔がぐるっと背中へ回る。
「幸太郎・・・あんた・・・日本人だったのね・・・?」
アステラの目は極端に開かれ、異様な光を帯びていた。
「え?・・・あれ・・・? アステラ様・・・?」な、なんかまずい
アステラは顔を上気させ、亀裂のような笑みを顔に浮かべた。
「ヒヒ・・・イヒヒ・・・そう・・・あんた日本人だったのね・・・ウフフ」
やばい。
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