太陽神登場
幸太郎はうっすらと視界があることに気が付いた。
(俺、生きてるのか・・・?)
幸太郎は今一つはっきりしない視界の中に女性がいることに気が付いた。
(誰・・・? すごい美人だ・・・)
その女性は幸太郎の顔を見てほほ笑んだ。
「あら、美人だなんて照れるわ。すごいのね。今ここで意識があるなんて」
(あれ? 声に出てたのかな・・・?)
「もう少し寝てていいわよ。もう少しであっちに着くわ」
幸太郎は救急車の中だろうと思った。
「私の名前はアマテラス・・・」
幸太郎はその声を聴くと再び意識が闇に沈んでいった。
幸太郎はゆっくり目を開けると、ぼんやりと周囲を見まわした。
なんか昭和チックなアパートの一室みたいに思えた。
「モロボシ・ダンとメトロン星人が会談した部屋みたいだ・・・」
目の前にちゃぶ台がある。幸太郎はぎょっとして目を見開いた。
いきなりちゃぶ台の向こうにキャミソールを着た美人が
あぐらをかいて座っていたからだ。さっきまでいなかった。間違いない。
「メトロン星人・・・?」
幸太郎が思わずつぶやくと、その女性はちゃぶ台越しに幸太郎の顔を
がしっと掴んでアイアンクローをかけてきた。
「だ・れ・が・メトロン星人よ!」
「あいっ、あいででででで!! 痛い痛い! ギブギブ!
タップタップ!! いだだだ!」
「まったく失礼ね! あたしを誰だと思ってるのよ・・・」
「ど、どちら様でしょうか・・・?」幸太郎は涙目だ。
「私は太陽神アステラ。別の宇宙の太陽神ね。アマテラス先輩の後輩にあたるわ」
『太陽神 アステラ』・・・
幸太郎はそろそろ夢から覚める頃合いだと思った。
(C)雨男 2021/10/30 ALL RIGHTS RESERVED