町が見えてきた
ゴースト・エンジンは20分しか持たない。
ゴーストが消えるたびに幸太郎は新たなゴーストを召喚した。
一度に4体なので、2セットでMP16ポイント消費。
ちょうど40分ほど走った計算になる。
幸太郎は2セット走ったところで、休憩を入れることにした。
『陽光』でMPを回復する目的もあるが、
なにより、モコたちの体調が心配だった。
現代の日本人である幸太郎は、当然この程度では船酔いなどしない。
しかしモコたちはどうだろう?
・・・。意外と余計な心配らしい。モコも、ジャンジャックも
グレゴリオも平気そうだった。
幸太郎は、この世界の人々の身体能力は
現代の日本人より高そうな気がしていた。
まあ、生と死が背中合わせでは当然か。
幸太郎が『飲料水』を出して全員に配る。
「幸太郎はいったい、いくつ魔法持ってんだ?」
「いろいろ訳ありでね。まあ、いずれ話すよ」
幸太郎はボートの移動中も成仏を何度も使っていた。
川を下っていくとともに、どんどんさまよう亡者が増えている。
(これは・・・コルトの9年自爆戦争で死んだ人々の魂か・・・
そのうち、この近辺を専門に成仏させてまわる必要があるな・・・)
「幸太郎殿。その『成仏』はネクロマンサーの魔法なんだろう?
なんか後ろから見てたが、まるで無限に使えるみたいだが・・・」
「ははは、いや、まあ、いろいろ訳ありなんだ・・・。
子供たちの救出が終わったら、少し説明するよ」
「では期待しておこう。救出祝いにみんなで飲むか」
さらに川を下っていくと、ついに遠くに
『商業都市ユタ』が見えてきた。
(C)雨男 2021/11/28 ALL RIGHTS RESERVED