新技。ゴーストエンジン
先ほど、ジャンジャックが
『よくそんな手を』と言っていたことがこれだった。
「『コール・ゴースト』!」
幸太郎は4体のゴーストを召喚する。
そして、1艘に2体、舳先と船尾につけた。
「新技。その名も『ゴースト・エンジン』!」
幸太郎はゴーストにボートを押してもらおうと考えたのだ。
ゴーストはゾンビに比べれば大した力はないが、
それでも中身の入ってるビールを
ケースごと持ち上げれるくらいの力はある。
酒屋のアルバイトにうってつけだ。全国の酒屋さんに朗報!
ボートは最初はオールとゴーストの力で、のろのろと進んだ。
しかし、勢いがついてくると様子がかわった。
「うわははは! これ、面白いぜ! 幸太郎! 気持ちいい~」
「おおお! 早い、早い! これは想像以上だ!」
「景色がこんなに早く流れていく!
これ、馬の駆け足ぐらい速いですよ!」
はしゃぐ3人をよそに、幸太郎は胸をなでおろしていた。
急流や浅い場所、水から出た岩、滝は見当たらない。
どうやら日本より高低差が少ないらしい。
割と関東平野みたいにぺたんとしている。
「これは・・・思ったより、大幅に早く到着しそうだな」
(C)雨男 2021/11/28 ALL RIGHTS RESERVED