幸せの根源
幸太郎たちは、少し離れたところで腰を下ろした。
「幸太郎は、本当にネクロマンサーなんだな」
「ああ、ちょっと訳ありでネクロマンサーをやることになってな」
「俺は今まで、ネクロマンサーに対していい印象を持ってなかったけど、
今日、考えが変わったよ」
「そんな大したものじゃないさ。
でも、結局、どんな道具も魔法も使い方だよ。
『誰かに幸せになってほしい』
その気持ちが全ての幸せの根源だと思う。人も。神も」
幸太郎は『時計塔』を呼んだ。
なんとしても『交信』を10分は維持しなくては。
「それは? まさか・・・時計か?
冒険者ギルドや貴族の屋敷で時計は見たことがあるが・・・。
こんなに小さい時計初めて見たぜ・・・」
「ああ、これは『太陽魔法』の『時計塔』だよ。
時間が正確にわかるんだ。他にもあるよ」
幸太郎は『陽光』を出した。
MPを回復させないと。この後出番がある。
「明るい・・・それに何か、温かい・・・」
「これは『陽光』。照明にも使えるが、特殊効果で5分に1回、
体力と魔力が少し回復するんだ」
「幸太郎殿は不思議な魔法を使えるんだな・・・。
『太陽魔法』など初耳だ・・・」
幸太郎は『いつか説明する』と言って、話をボートに移した。
相談の結果、幸太郎とジャンジャック、
モコとグレゴリオに分かれて乗ることにした。
オールはジャンジャックとグレゴリオが担当すると言った。
「しっかし、よくそんな手を思いつくな」 ジャンジャックがあきれた。
(C)雨男 2021/11/28 ALL RIGHTS RESERVED