亡くなった村人たち
幸太郎には、あと一つやることが残っていた。
人狩りに殺された村人たちを成仏させてやることだった。
殺された村人8人は一か所に集められていた。
戻ってきた村人たちが墓穴を掘っている最中だ。
幸太郎は亡くなった人たちを成仏させようとした時、
声が聞こえたような気がした。
亡くなった人たちはシーツを被せられている。
幸太郎はなぜか、『できる』という確信があった。
幸太郎は亡くなった人たち8人に対して『交信』を使った。
亡くなった人たちの魂が亡骸の上に光って現れた。
村人たちはシャベルを捨てて駆け寄ってくる。
「ラブラド! コギ! テリア! マスティー!・・・」
「みなさん、この『交信』は10分しか持ちません。
最後のお別れを」
本当はこの『交信』が何分もつのか、幸太郎は知らない。
だが、この10分は何が何でも持たせてみせると誓った。
村人たちはみんな泣きながら、亡くなった人たちと話をしている。
亡くなった人たちの魂も泣きながら話をしていた。
モコも泣きながら村人たちの輪に加わった。
「ジャンジャック、グレゴリオ殿、
ここは彼らだけにしてあげよう・・・」
(C)雨男 2021/11/28 ALL RIGHTS RESERVED