吸い込め
「よし、俺たちの荷車で川まで運んでやろう」
シバたちはボートをハンガーから降ろした。しかし、幸太郎は
そこまででいい、とシバたちを止める。
「吸い込め、『マジックボックス』!」
幸太郎の『マジックボックス』はボート2艘とオールを飲み込んだ。
その場にいたモコ以外の全員が、口をあんぐり開けて驚いた。
「お、おい、幸太郎! なんだそれ?
お前の『マジックボックス』はどんだけでかいんだ?
ボートを2艘も収納できるなんて聞いたことがねえ!」
ジャンジャックさえ驚きを隠せない。
「まあ、内密に頼むよ。特別なんだ。俺の『マジックボックス』は
馬車が入る大きさなんだよ。あんまり知られると面倒だから、頼むな」
これは前日にモコと口裏を合わせておいた話だ。
一口に馬車といっても実は様々な大きさがある。
だから『馬車が入る』と言っておけば、
あとは相手が勝手に大きさを想像してくれる。
「馬車ぁ?! ・・・なんて大きさだ。
俺とゴリオの『マジックボックス』は
背負い籠5つ分くらいで、大きいほうなんだが、
幸太郎のは規格外だな」
「ますます興味深いな、幸太郎殿は。
ダンジョンアタックなどには引っ張りだこになるだろう」
(C)雨男 2021/11/28 ALL RIGHTS RESERVED