ボートだ!
幸太郎は『あるもの』を見つけて、目を輝かせた。
それはボートだった。
幸太郎はボートへ走り寄る。ボートは全部で8艘。
木製のハンガーに収まっている。全て無事だ、燃えてない。
「モコ、『ピートス川』は大きな川なのか?」
「はい、とても大きい川です。
『アルカ大森林』の間を横切る部分でさえ、
川幅は30メートルくらいあります」
幸太郎は昨日モコが描いてくれた地図を思い出していた。
『ピートス川』の北側に『商業都市ユタ』
南側が『城塞都市カーレ』。
一気に川を下れば、大幅な時間短縮になるだろう。
人狩りたちは馬車で子供たちを運んでいる。
モコを運んでいたチームと同じく昨日は途中で
一泊しているはずだ。ユタへ到着したのは、
早くてもこの時間くらいと推測できる。
そして、ボートなら2艘で幸太郎、
モコ、ジャンジャック、グレゴリオの
4名を運べるはずだ。
しかも幸太郎はボートを見た時に閃いていた。
「よっし、我に秘策あり!」
幸太郎はシバに馬とボート2艘を交換してほしい、と頼んだ。
シバはタダでいいと言ったが、幸太郎はあくまで交換に固執した。
「いいのかい? 馬のほうがボート2艘より、
はるかに高価なんだが・・・」
「いいんですよ。こういうことはキッチリしておかないと
寝覚めが悪いので」
(C)雨男 2021/11/27 ALL RIGHTS RESERVED