短く自己紹介
モコが『密室』の中へ入ってきた。
「何の話だったんですか? 村のみんなへの説明は終わりました。
救出の成功率がそれなりに有りそうということは、
理解してもらえましたが、
待てるのは明後日までだと言われました。
私たちと子供たちが心配なので、
明後日の夜にはユタへ出発すると言ってます」
「ありがとう、モコ。十分だよ。どのみち長い時間はかけられない。
この作戦のカギは奴隷商人から情報を吸い出せるか、否か、
そこだけと言っていい。
今、ジャンジャックとグレゴリオ殿と話していたのは
最後の脱出の計画さ・・・金がかかる話だからな」
「村からいくらか協力してもらいましょうか?」
「いやいや、それはダメだ。村の再建に回してもらわないと」
「モコ、その辺は俺とゴリオに任せてもらおう。
商人のつてをあたってみる。
・・・おっと、自己紹介まだだったな。
俺はジャンジャック。こっちはグレゴリオだ」
「よろしく。モコ。俺はグレゴリオだ」
「よろしくお願いいたします。モコです」
そろそろ出発しなくては。モコの村からユタまでは歩きなら
途中で一泊する必要のある距離だ。
馬は1頭いるが、ジャンジャックたちの馬がいない。
歩きで行くしかないから、最低でも明日の朝にはユタへ入りたい。
しかし、幸太郎の視界の端にあるものが見えた。これなら!
(C)雨男 2021/11/27 ALL RIGHTS RESERVED