異議は受付ません
「それなら、俺がモコちゃんの代わりに行こう!」
「いいえ、それはできないんです。シバさん、幸太郎様はすでに
私と二人で救出する作戦を立てています」
「しかし、そんな危険な役目を、
モコちゃんにさせるわけにはいかないよ」
「これは私と幸太郎様でしかできない作戦です。代わりはいません。
私が一度、人狩りに捕らわれたからこそ、できることがあるのです。
それに、幸太郎様は準備が整えば、今夜にも救出を実行します。
シバさんたちにこれより早く子供たちを救出する案がありますか?」
「こ、今夜だって?!」
「モコ。あんまり熱くなるな。・・・みなさん、申し訳ありませんが、
これは私とモコでしかできない役があるんですよ。
そして、この作戦にはみなさんは参加できません。
私はモコに雇われています。
みなさんが異議を唱えても変更はいたしません。
みなさんがユタへ入れば作戦は水泡に帰すでしょう」
「その作戦って、 いったいどんな・・・」
そこで、モコをはじめ、村人全員が
ピクッと耳を動かして同じ方向を見た。
幸太郎たちが村に来たのとは逆の方向、
山の方角だ。人影が見える。
(C)雨男 2021/11/27 ALL RIGHTS RESERVED