村人は森へ避難
しばらくして、モコは馬を引きながら戻ってきた。
幸太郎はもう馬を降りていた。
念のため、降りれる時に降りたようだ。
「では、改めまして。こちらが幸太郎様です。
私を人狩りから助けて下さいました」
「初めまして。幸太郎と申します。偶然通りかかっただけです。
大したことはしておりません」
「幸太郎様は、人狩りが盗賊に襲われているところへ、
月光とともに颯爽と現れて、バッタバッタと悪者たちを、
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ・・・」
いやいやいや、モコさん、それは何? 盛り過ぎデスヨ。
しかし、幸太郎はあえて放っておくことにした。
この後を考えると、そのほうが余計な時間を食わなくていい。
「シバさん。お父さんたちは? 村のみんなはどこへ避難したの?」
「村のみんなは『アルカ大森林』へ行くことにしたよ。森の議会へ
移住を認めてもらうように頼んでる。モコの家族もみんな森へ行ったよ。
ただ、バスキーは昨日スキルを使いすぎてな。今日は動けない。
モコを助けに行くって、わめいていたが、何しろ歩くことさえままならん。
今は薬を飲んで寝ているはずだ」
『バスキー』はモコの父親の名前だと教えてくれた。
この村のまとめ役の1人である『シバ』は、
モコの父親『バスキー』と親友だという。
(C)雨男 2021/11/25 ALL RIGHTS RESERVED