モコの村へ
幸太郎はシェルターを消す前に、モコに周囲に何かいないか確認を頼んだ。
モコは目を閉じて、しばらくじっと聞き耳を立てた。
大きな耳がぴこぴこと動く。かわいい。
「大丈夫です、幸太郎様。周囲に動物や人の気配はありません」
幸太郎は荷物を全て『マジックボックス』に入れたことを確認すると
シェルターを消した。朝日がまぶしい。
馬はモコに任せる。幸太郎はゴーストを3体召喚すると
『よっこらせ』とよじ登った。中身42歳。
モコは昨日と同じく軽々と馬の背中に飛び乗った。再び幸太郎の
目の前をモコの小さなお尻とフサフサの尻尾が通過する。
幸太郎は厳しく自戒していた。『気を強くもたねば』と。
モコのかわいいお尻も誘惑の種には違い無いのだが、
何より、このふさふさの尻尾である。
この尻尾が『もさこら、もさこら』と左右に揺れるさまは、
とんでもなく可愛かった。
うかつに気を抜けば、幸太郎はしっぽへ向かって
ルパンダイヴしてしまう。
そんな危険をはらんでいた。幸太郎は自らのももをつねった。
「では、まず村へ向かいます」
モコは馬を進めた。ここからは当分モコに任せるよりない。
馬は『パッカポッコ』と進む。
駆け足をさせても2時間は持たない。
馬が気持ちよく進めるスピードを維持する。
これが結局一番早い、とモコは幸太郎に教えた。
(C)雨男 2021/11/25 ALL RIGHTS RESERVED