番外編 アステラの部屋 3
「確かに『冥界門』は、地上の魔法なんかとはケタが違うわよ。
あれを使役できる人間なんて、幸太郎以外にいるわけがない。
でも、あれそのものは『何の力も無い』と言っていいものなのよね」
「そうですよね。幸太郎君の前任者・・・アンドリュー・ホーク、
仮に彼が『冥界門』を持っていたとしても、役には立たないでしょう」
「そう。せっかく門を開いても、アンドリューだったら、
誰も助けに来ないだろうからね。一人も成仏させてないし、
亡者がアンドリューに感謝していなければ、結局何も起きない」
「そして、そのうち穴があいてることに気が付いた、冥界の亡者たちが
大挙して押し寄せてきて・・・。アンドリューもろとも地上は
滅茶苦茶になるでしょうね・・・」
「物質界と霊界をつなぐ『冥界門』は、神の領域の力よ。
人間がおいそれと扱えるシロモノじゃないわ。
でもあれ自体はあくまで『門』・・・。
次元の穴でしかない。門自体は、幸太郎に何も味方しない」
「幸太郎君を助けに来たガイコツの騎士や、ゴーストたち・・・。
実際に力になったのは、あくまでも彼らであって
門じゃないですからね・・・」
「もし、アマテラス先輩が幸太郎に力を与えるなら。
そんな回りくどい、役に立つかどうかわからないものじゃなくて、
『光の国の戦士』とかを直接送り込むわよ」
「アステラ様の『神虹』と同じですね。
即、事態にケリがつく決定的な力」
(C)雨男 2021/11/25 ALL RIGHTS RESERVED