何かの練習
「さて、首輪の話がでたから、ちょうどいい。モコにはやってもらうことがある」
幸太郎は時計塔に目をやった。時間は10時ちょっと手前。
ここに到着したのが8時半くらい。
「よし、明日は朝6時には起床。モコの村へ向かう。現在位置からすれば、
午前9時には到着するはずだな?」
「はい。馬に乗れば休憩を入れても2時間半というところでしょう」
「了解だ。明日は忙しい一日になるだろう。
十分に休息をとるとしよう。
しかし・・・モコには今からちょっと練習してもらう。
1時間で覚えるように! ビシビシいくぞ」
幸太郎はモコを立ち上がらせると、あれこれ指示を出し始めた。
シェルターの半分は馬のスペースにしてある。
馬は『陽光』が気に入ったらしい。
もさもさと足元の草を食んでいた。
一応、幸太郎が鍋に『飲料水』を出して置いてある。
馬は、幸太郎とモコがなにやら不思議なことをしているのを眺めて、
しばらくすると飽きて寝た。
幸太郎とモコが、時計塔のベッドにマットを敷いて寝たのは
結局11時を少し回ったところだった。
考えてみれば疲れた一日だった。初めて人を殺したが、
なんかもうそれどころではない。
明日から戦う敵は盗賊どころではないからだ。
幸太郎は朝まで目が覚めなかった。
(C)雨男 2021/11/24 ALL RIGHTS RESERVED