おおよその地図
「モコ、大雑把な地図をかけるか?」
「ここは大陸の最北端のほうで、南部とかは全然わかりませんが・・・」
「この辺りだけでいい」
モコは石でおおまかな地図を地面に描いた。
なんか、おにぎりの上部みたいな形をしている。
「ふーん・・・。『アルカ大森林』の中を通る
『ピートス川』の河口付近・・・。
これがユタか。最北端が『首都ダブリン』、
『ホーンズ山脈群』がおにぎりの具材あたりだな。
反対側に『ラーテル魔導連邦』・・・。そして、
モコの村がおおよそこの辺りで、
時間から逆算すると、現在位置はこの辺・・・と」
幸太郎は正直なところ、モコがこんなに地図を
しっかり描けるとは思わなかった。
もっと漠然としていると考えていた。
江戸時代の日本人に日本列島など描けはしないだろう。
だが、おそらく真ん中にある『ホーンズ山脈群』のせいで
相対的な位置がわかりやすいせいだと思った。
『ホーンズ山脈群』は日本の南アルプスに似ている。
雪をかぶった山はおそらく2000メートル級かそれ以上だろう。
この世界の人たちでは踏破は不可能に近い。する意味もない。
まあ、日本の『山バカ』たちはよだれを垂らすだろうけど・・・。
(C)雨男 2021/11/21 ALL RIGHTS RESERVED