子供たちはユタへ送られた
人狩りたちは、子供たちとモコを檻に閉じ込めて、村の金品を漁りだした。
モコは子供たちから、おおよその事情は聞いた。
『やはり、あの学者たちだったのか』
しかも、学者たち自体は子供や村人を油断させるための
『おとり』だったのだ。人狩りたちは準備が整うまで、
村人が油断するまで遠くで息を潜めて待っていた。
(学者たちは自分で襲う気はないから、殺気がなかったんだ・・・)
モコは唇を噛んだ。しかし、もう遅い。
襲撃から2時間ほど。人狩りたちは馬車を回してきた。2台あった。
1台は子供たちを乗せる。そして、モコとは別の方向、
川を下る方向へ出発した。
行き先はおそらく『商業都市ユタ』だ。
モコは子供たちに『きっと助かるから』『きっと迎えが来るから』と
子供たちに声をかけた。しかし、これは嘘だった。
未だかつて、人狩りに捕まった人々が逃げ出したり、
助けがきて帰ってこれたという話など聞いたことがない。
そんな都合のいい話はこの世に無い。
モコも自分の首輪が外れることは永遠にないとわかっていた。
父と母と弟が無事だっただけでもよかったと自分に言い聞かせ続けた。
(C)雨男 2021/11/21 ALL RIGHTS RESERVED