戦闘
人狩りはモコを縛り上げる。
「さあ、あと3人だ」
しかし、モコの毅然とした声が状況を一変させた。
「私が来たのだから、その分、子供を開放しなさい!」
人狩りは何も言わない。
人狩りは約束を守る気などない。モコにはそれがはっきり感じられた。
「みんな! 逃げて! こいつらは最初から誰も開放する気はないわ!」
『ちっ』人狩りは舌打ちすると、剣を抜いた。『いけ! 逃がすな!』
戦闘になった。モコと子供たちを助けようと何人もの村人が人狩りに挑んだ。
しかし、村人は次々に斬り殺されていった。
モコの父親は人狩りの手練れに足止めされていた。
白狼族であるモコの父親は村で一番強い。
しかし、その手練れの人狩りはモコの父親と互角。
これは双方にとって誤算だった。
人狩りは全員で12人。村人のほうが数は多いが、女子供も多い。
村人たちは粘っていれば、いずれモコの父親が人狩りを圧倒すると考えていた。
人狩りは素人の村人など、物の数ではないと考えていたし、
いずれ手練れの人狩りが村を制圧すると踏んでいた。
だが、手練れの人狩りとモコの父親は
お互いまったく手傷を負わないまま勝負がつかなかった。
人狩りたちは、その手練れの人狩りをあてにしていた。
また、小狼族もモコの父親をあてにしていた。
事態は膠着したように見える。
だが、やはり最初から小狼族が不利なのは変わらない。
(C)雨男 2021/11/21 ALL RIGHTS RESERVED