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モコが名乗り出る
正午。子供たちが戻ってこないのを親たちが心配し始めた。
その時、人狩りが村へ現れた。縛り上げた子供たち6人を連れて。
村に悲鳴が上がる。人狩りたちは村の人々に悠然と告げた。
「あー。とある貴族のお方が、小間使いを探しておられる。
合計4人ほど欲しいそうだ。
君たちの中で名乗り出る者はいないかね?」
「子供たちを離して!」
「もちろん、開放するさ。我々は娘4人が手に入ればいい。
その娘も貴族に仕えれば、一生困らない生活ができるぞ?
悪い話ではないだろう?」
モコが名乗り出た。
「私が行きます。だから子供たちを離して」
子供たちは泣いている。
『モコおねえちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい』
モコはなんとか子供だけでも助けなければ、と覚悟を決めた。
人狩りたちは口笛を吹いた。小柄な小狼族にはありえないほどの
豊かな胸をしたモコをニヤニヤと見た。
「いい子だ。お前は幸せになれるだろう。よし、あと3人。いないか?」
(C)雨男 2021/11/19 ALL RIGHTS RESERVED