学者たち
幸太郎がいれば、ネクロマンサーの力があれば、首輪を壊せる。
モコは『太陽神アステラ』に感謝した。
「もちろん、子供たちの救出には力を貸すよ。情報が欲しい」
幸太郎はあっさり言った。
モコは少し胸が熱くなった。なんで、こんなにお人よしなんだろう?
幸太郎のいた世界の人々は、みんなお人よしなんだろうか?
いつか、行ってみたい。モコはそう思った。
「では、まず順を追って説明します・・・。発端は2週間前から・・・」
モコは今日の『人狩りの襲撃』までを話し出した。
モコの村は『アルカ大森林』の北の端から、さらに北へ上った
『ホーンズ山脈群』のふもとに近い位置にあった。
まだ村を作ってから5年の新しい村だ。
村の人口は、老人から子供まで含めて、まだ数十人。
その村の北側の森に5人の『自称・学者』が現れた。
彼らは森で植物の採取をしたり、スケッチをしていた。
また、昆虫や動物のデータも同様に集めていた。
彼らは『首都ダブリン』の教会主催の学校の教員だと名乗った。
『迷惑をかけるつもりはありません』彼らは
そう言って村には近寄らなかった。
村の人々は、念のため時々様子を見ることにした。
(C)雨男 2021/11/19 ALL RIGHTS RESERVED