外れた首輪
しかし、幸太郎には首輪の外し方がわかった。
奴隷商人だけが使える魔法などではない。
今、モコから聞いた話と自分が体験したことから、
首輪の致命的な弱点が理解できただけだ。
パキン。
小さな音を立てて、首輪が外れた。
モコが目を見開いて、外れた首輪を見つめた。
幸太郎が外れた首輪をくるくる回す。
幸太郎は首輪を捨てようとしたが、
思いとどまって『マジックボックス』に入れた。
何かの偽装とかに使えるかもしれない、と思ったからだ。
モコは立ち上がると、幸太郎へ向き合った。目が真剣だ。
「ご主人様・・・。幸太郎様、そのお力を見込んでお願いがあります。
どうか、村の子供たちを、奴隷として連れてゆかれた
子供たちを助けてほしいのです。
どうか、どうか、力を貸してください」
「襲われたモコの村の子供たちか? どこにいる?
いや、まずは事情を最初から聞かせてくれ」
『隷属の首輪』をあっけなく壊した幸太郎に、モコは希望を見た。
自分の首輪は生涯外れないと思っていたし、仮に子供たちを救出しても
首輪を外す方法が無い。モコは諦めていた。
だから自分に言い聞かせるように
『首輪を外したくありません』などと言っていた。
奴隷商人以外には外せない『隷属の首輪』・・・。
だが、それを覆す力を持った男がここにいた。
(C)雨男 2021/11/19 ALL RIGHTS RESERVED