首輪 1
ちょっと干し肉ショックはあったが、幸太郎は気を取り直して
もう一度『隷属の首輪』についてモコに質問する。
「その首輪は命に関わるものなのか?」
「いいえ、この首輪はご主人様に逆らったり、
逃げようとすると締まりますが、普段は苦しくも何ともありません。
ご主人様に忠誠を尽くす限り、命に関わったりはしません」
「さっき『手綱』って機能があったけど、
他には何か首輪に機能はついてるのか?」
「他には・・・。ご主人様の許可なく他人が私に触れると静電気のような、
小さな雷が走ると人狩りが言ってました。要は、他人が
勝手に私を連れてゆくことができないようになってるそうです」
「ふーん。そして、所有者が死ぬと、次にモコに触れた者を
新しく所有者として首輪が記憶する・・・か」
「はい。ですから、私はご主人様を命をかけてお守りいたします」
幸太郎は眉を寄せた。はっきり言って『よくできてる』
そんな気がした。特に『所有者』の部分が練りこまれている。
先ほど、幸太郎は盗賊との戦いで一度死んだ。
しかし、首輪は幸太郎が『死んでいる』にも関わらず、
所有者を解除しなかった。
これは幸太郎の死体の中にまだ魂か、意識がとどまっている・・・と
首輪が感知していることを証明していた。
(C)雨男 2021/11/19 ALL RIGHTS RESERVED