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干し肉 2
モコは見た目、もこもこの髪と小さな顔の少女。
胸部装甲は大型戦艦に匹敵するが、顔を見る限り、
あんな硬いものが嚙み切れるようには見えない。しかし・・・。
モコはあっさり、ばりばりと干し肉を嚙みちぎっていく。
「んー、おいしい! 干し肉大好きです! ・・・あ。
これって・・・もしかして、間接キスってことに・・・」
モコは少し頬を赤く染める。
しかし幸太郎は全くロマンチックな雰囲気にはならなかった。
(・・・。この世界の人類ってあれが普通に食えるの?
人狩りの食料だったけど・・・。
いや、スープの具材なら理解できる。煮るなら多分いける・・・)
幸太郎は、頭の中にモコの言葉がリピートされていた。
『小狼族は・・・』
小狼族・・・。小『狼』族・・・。
なんてこった・・・。この旅に・・・。俺と来る奴は『狼』だ・・・。
吠えろ、吠えろ、吠えろ幸太郎。
『マジックボックス』の干し肉はみんな、モコ専用にすることにした。
幸太郎は、早急に何か食料を買い込む決意を月に誓った。
(C)雨男 2021/11/19 ALL RIGHTS RESERVED