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コルト王死亡
ジャンバ王ニュグカーとアナスタシアは決定を下した。
「こんな馬鹿馬鹿しい戦いで、王国の精鋭を一人たりとも
失うわけにはいかない!
蛮勇は許さぬ! 防衛戦に徹せよ! 絶対に渡河させるな!」
渡河するバルド軍を狙うことに徹底したおかげで
ジャンバ軍はほとんど被害がでなかった。強固な防衛線を張ったのだ。
バルド軍は秋が近づくと首都へ撤退していった。
やれやれ、とニュグカーとアナスタシアは胸をなでおろした。
ところが。
春になったら、再びバルド軍が現れたのだ。
おまけに今回も『商業都市ユタ』と『アルカ大森林』を行ったり来たりした。
そう、昨年と全く同じ行動を繰り返した。ひたすら被害だけを拡大させて。
なんと、これをコルトは合計9年も繰り返した。
毎年数千人の犠牲者を出し、領土から物資をひたすら運ばせて浪費し、
大陸の最北端で『最北の雄』と謳われたバルド王国は一気にやせ細った。
そして10年目。コルトが死んだ。
(C)雨男 2021/11/16 ALL RIGHTS RESERVED