理由
『白紙委任の森』は森の中の空間が滅茶苦茶に入れ替わる。
まるで抽象絵画のように。この中ではドライアードの
許可がある者以外は、自分の体さえ滅茶苦茶に見える。
自分の振り下ろした剣が自分の頭に刺さる、そんな世界なのだ。
バルド軍は何もできなかった。突入した部隊は全て死んだ。
一方、亜人たちは一人の死者もでなかった。
『白紙委任の森』の攻略法はただ一つ。森の端っこから大木を順番に
地道に一本ずつ切り倒すこと。
ただし・・・当然、その間はやられっぱなし・・・ではあるが。
バルド軍は再び1000人近い死者を出して、『商業都市ユタ』に撤退。
バルド軍は何がしたいのか全く分からない。そしてジャンバ軍が放った
密偵の伝書鳩が驚くべき報告をもたらした。
『アルカ大森林へ 向かった 理由 ダークエルフの美女が ほしい』
『ジャンバ王国』国王ニュグカーと、アナスタシアは目まいがした。
いや、何かの間違いでは? むしろ、そうであってほしいとさえ願った。
しかし、帝都へ放った密偵も、商人に化けた密偵も、
全く同じ報告をしてきた。マジかテメー
全て、コルトのきまぐれだった。
アナスタシアを手に入れるのが時間がかかると思ったら、
じゃあもういい、ダークエルフの美女を手に入れろ、と。
被害甚大となったら、やっぱりアナスタシアを狙え、と。
(C)雨男 2021/11/16 ALL RIGHTS RESERVED