バルド軍はどこへ?
さらに、バルド軍はもっと不可解な行動を開始。
『ピートス川』対岸に陣を敷くジャンバ軍をほったらかしにして
南東の『アルカ大森林』へ向かったのだ。
しかも、『商業都市ユタ』に駐留する軍を残さず、完全に無防備。
あまりにも不可解な行動にジャンバ軍は混乱した。
『首都から別の部隊が来るのではないか?』
『周囲に伏兵があるに違いない』
『まさか、ラーテル魔導連邦から支援があるのでは?』
しかし、いくら斥候を放っても空振りばかりだった。
ジャンバ軍は仕方なく『様子見』するとして、軍を半分に分ける。
半分はこのまま『城塞都市カーレ』を拠点として川を防衛。
残り半分はバルド軍と距離をおいて対岸から追跡。
バルド軍が川を渡ることに備えた。
しかし、あろうことかバルド軍はそのまま『アルカ大森林』へ突撃した。
ジャンバ軍は開いた口がふさがらない。
『アルカ大森林』は一番数が多いダークエルフを議長とした、
亜人や獣人の長老たちによる議会制だった。
しかし、本当の森の主はドライアードたちである。
北部のドライアード、中部のドライアード、南部のドライアード。
この3名の協力による、大森林でしか発動できない『樹海魔法』。
もっとも恐ろしい『白紙委任の森』が発動された。
(C)雨男 2021/11/16 ALL RIGHTS RESERVED