アナスタシアへの求婚
コルト王のその後の滅茶苦茶ぶりは『欲張りな王さま』という童話となって、
親が子供の躾のために使われているほどだという。
モコの話をまとめると次のような話になった。
コルトは国王になし崩しに即位した。半分クーデターに近い有様だった。
逆らう者、意見を具申するものは全て殺された。見境なしだった。
コルトは即位の後、ほどなくして、南西の隣国『ジャンバ王国』の
第一王女アナスタシアに求婚した。
アナスタシアは『真冬の満月』と異名をとる、
凛とした美貌の持ち主として有名だった。
アナスタシアは直筆の手紙で返答した。内容はたった一言。
『バカめ』
コルトはすぐに軍をおこした。合計1万もの軍勢を作り、
『商業都市ユタ』を目指した。
昔も現在も『バルド王国』と『ジャンバ王国』の国境は
『商業都市ユタ』と『城塞都市カーレ』の間にある『ピートス川』である。
『ピートス川』の両岸でバルド軍とジャンバ軍は対峙した。
激しい戦闘になる・・・かと、思いきや。
ジャンバ軍は渡河するバルド軍を弓や魔法で狙い撃ちする作戦で防衛に徹した。
そしてバルド軍は1000人ほど犠牲者を出したあたりで、あっさり撤退。
『商業都市ユタ』に引き返した。
バルド軍の行動は、非常に不可解だった。
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