5名の騎士
「幸太郎様のお役に立てて、光栄です。
どうか、これからも我ら5名の力をお使い下さい。
それと、幸太郎様、我ら5名は幸太郎様の臣下となりました。
敬語はおやめください」
「え? いや、しかし・・・」
「先ほども申し上げましたが、これはエミール殿下のご意向でもあります。
殿下とマーガレット様はすでに、新たな生まれ変わりの修行に入りました。
一方、私の部下4名は騎士として力が発揮できなかった無念に
囚われており、まだ自我が戻っておりません・・・。
幸太郎様、どうかこの4名に騎士としての、
勲ある活躍の機会を与えていただきたいと存じます。
・・・どうか、人助けと思って・・・」
「『騎士』としての・・・。わかりました。いや、わかった、
カルタス。その力、頼りにさせてもらうよ。ただ、君たちは
私の切り札として迂闊には呼ばないことにする。
その代わり君たちを呼んだ時は・・・頼む」
「心得ました。必ずやご期待に応えてご覧にいれます」
「ありがとう。先ほどの戦いも見事だった。また私の力になってほしい」
「恐悦です。いつでもお呼び下さい」
幸太郎は『冥界門』を消した。カルタスの部下4名は主に仕え、
活躍する夢を果たせぬまま死んだことが、
今でも心残りになっているらしい。
幸太郎は『主らしい態度』ってどんなだろうと少し悩んだ。
(彼らの期待に応えて演技しなくては・・・。うーん)
(C)雨男 2021/11/13 ALL RIGHTS RESERVED