『冥界門』は呼べる
幸太郎は時計塔でシェルターを作る。モコはまたしても驚く。
「時計・・・? 初めて見る魔法です。
それにこんな壁を作ることができるなんて・・・」
幸太郎はモコに後で説明するから、と言って、先に簡易ベッドまで作った。
今は先にしなければならない事がある。モコをベッドに座らせた。
幸太郎はステータスを呼び出した。レベルが16になっている。
『コール・スケルトン』と『インビジブル』がアンロックされていた。
さっきの盗賊との戦いで使えたら、状況は変わっていただろうか?
いや、何も検証していない。意味は無いだろう。
それより今は『冥界門』だ。幸太郎は大きく息を吸うと覚悟を決めた。
「来い、『冥界門』」
幸太郎の胸に緑色の光が灯る。それが宙に浮くと2つの光の輪になった。
その輪の中に光が走り、八芒星が描かれる。呼べた。できた。
これは幸太郎の意志で呼べるものなのだ。
幸太郎はふと、このまま開けずに使えないだろうか? と思った。
幸太郎は『冥界門』に呼びかけてみる。
「・・・カルタス殿、カルタス殿。聞こえますか?」
しばらく待ったのち、だめか? と思い始めた時。
「幸太郎様? カルタスです。無事生き返ったようですね」
おお! 返事がきた! 開けなくても会話はできるんだ。
「カルタス殿。さきほどは力を貸して頂きありがとうございました。
おかげで、この少女・・・モコも助けることができました」
(C)雨男 2021/11/13 ALL RIGHTS RESERVED