うなれ! 俺の中2心!
幸太郎は確かに見た。骨折した患部の腫れがわずかにひき、
足の骨折がわずかに動くのを。いける! いけるぞ! 治せる!
幸太郎は思わずにやりと笑う。そして、ゆっくり腕を動かし
『ドッギャアアアン!』という擬音が入りそうなポーズをとった。
うなれ! 俺の中2心!!
「震えるぞハート! ・・・燃え尽きるほどヒート!!
サンライトイエロー・オーバードライブ!!」
幸太郎の手から波紋・・・もとい、金色の光が広がる。
「一度でダメなら治るまで連発するのみ!」
幸太郎は『太陽神の加護』に感謝した。
いわゆる回復魔法が無限に撃てるのだ。
これチートじゃん! ヒーハー!
12回目の『陽光の癒し』で馬の骨折は完治した。
馬は足が治って嬉しいようだ。幸太郎の顔に馬が鼻をすりよせる。
馬って可愛いなあ。
一方、モコは唖然としていた。てっきり幸太郎は馬を殺して
食料にすると思っていたからだ。
「・・・。まさか馬の骨折を治してしまうなんて・・・。
ご主人様はいったい幾つ魔法を使えるのですか?
そういえば、そもそも、ご主人様は『詠唱』を
全くしていないような・・・。それに、死霊術に加えて回復魔法・・・
そんな相反するようなことが・・・できる人なんて・・・
いえ、まず魔法をなぜそんなに連発できるのですか・・・?」
「まあ、まずはここを離れよう。モコは馬に乗れる?」
(C)雨男 2021/11/13 ALL RIGHTS RESERVED